TBS系28局にて好評放送中のTVアニメ『太陽よりも眩しい星』。本作より小野友樹さん(神城光輝役)のインタビューコメントが公開された。
──原作を読まれた感想をお聞かせください。
最初からぐっと引き込まれました。小学生時代から描かれているので、キャラクターの関係性が積み重なっていくのを感じられるんです。その中で神城光輝を演じることになり、自分の年代でどう表現するのかを考えながら読みました。登場人物それぞれが異なる魅力を持っていて個性豊か。学生生活とか友達とか、絆の深まり方も一歩一歩楽しく描いていらっしゃる。ちょっとしたギャグも交えつつ、シリアスもありとても引き込まれていく、魅力的な作品です。
──高校生の神城光輝を演じた心境は?
オーディションを受けて神城役を得ることができました。お声がけをいただいたとき「こんなキラキラのキャラクターを、オーディションとはいえ受けさせてもらえるんだ」とまずそこに驚きました。太めで強めな声を割と得意とする中、キラキラした王子様キャラの高校生で、しかも恋愛物はそこまで多くなかった。オーディションからチャレンジでしたね。オーディションを終えてスタッフさんの第一声が「こういうキャラクターもいけるんですね」でした。オーディションは、もちろん役柄を勝ち取る勝負の場ではありますが、初めてに近い役柄をやらせていただくのは、自分の引き出しを増やす意味もあります。そう言っていただけて、役者の挑戦という面から考えて嬉しかったです。その上で「合格です」と連絡が来て、嬉しかったですし、「これは気合いを入れなきゃ」と思って顔合わせに臨んだときに判明したのが、相手役が藤寺美徳さん……当時現役の高校生であると(笑)。恋愛作品はキャリアがあまり変わらない男女の組み合わせであるイメージだったので、年齢が倍以上違うというのは、役者個人としては面白く受け止めていました。
──高校生を演じるにあたって意識した点は?
芝居の道を20年近く続けてきた分、年代に応じてできる技術みたいなものが増えていく中で言うと、等身大の高校生役ではそれを捨てなければいけないと思うんですけど、今回は何も捨てずとも、そのままそこにいれば、声を発せば、朔英ちゃん演じる藤寺さんが隣で応じてくれる。藤寺さんが等身大で高校生を演じられる一方、こちらは工夫して
“あの頃
”を演じる、という具合。その違いは決定的にありました。そこは勉強させてもらいながらやっていました。
──苦労した点はありますか?
過去の先輩方が皆さんそうであったように、朝、発声練習をして現場に行っても、高校生らしい、若々しくてすっとした綺麗な声を出したいのに、何かちょっと詰まる(笑)。最初は一声一声、チューニングではないですけど、ちょっと間があって神城の声がやっと出てくる。そこに気をつけていたら、藤寺さんが「私、咳払いしたことがないんです」と言っていたことですね。煽りではなく、本当にそう思っていたらしくて(笑)。後々よく聞いてみるとそうではないと分かるのですが、そういう自然体な若さの感覚を聞いて「そうかー!」と思わされました(笑)。若さゆえの自然さ、というのはやはり絶対的なものがありますね。そういう姿に刺激を受けながら演じていました。
──小野さんが考える、朔英と神城の関係とは?
いや〜、語るのは難しいですね。彼らの関係性がこの作品の根幹をなしている部分があります。小さい頃からのシーンが断続的に描かれることで、親近感が湧きますよね。小さい頃から含めて見てもらうことは、描写時間こそ短いものの、キャラクターへの愛情やストーリーへの解像度みたいなものが上がるので、読んでいて楽しいです。他方、2人のやり取りはもどかしい部分がもちろんある。神城が恋に慣れていない不器用さゆえに、スタジオ内でも「今の光輝、どういうつもりでこれ言ってるの?」と話題になることがありました。その度に「どういうつもりなのよ!?」とツッコミが僕によく来ました(笑)。そもそも神城は、完璧な王子様のキャラクターではなく、イチ男子高校生。だからこそ、2人の関係性には、もどかしさがあります。
──小野さんが考える神城にとっての朔英とは?
神城は、小さい頃から
“ある点
”において一貫しています。彼が成長してできることが増えるのは、朔英ちゃんを助けるため、守るため、あるいは一緒にいるため、というのが大きな割合を占めています。自分の想いにまっすぐ一途な男は魅力的です。朔英ちゃんから見えている、神城の目のキラキラしたところは、朔英ちゃんを想うがゆえに、朔英ちゃんのために成長する過程、というのが一番魅力的です。
──作中では明示されていないですが、舞台は北海道です。北海道出身である小野さんご自身の学生時代や、地元での思い出と重なる部分はありますか?
小学生の頃に北海道に住んでいたんですが、作中で出てくる場所がまさに自分が遊んでいた中島公園の近くだったので驚きました。久しぶりに札幌を訪れた際には、子どもの頃の遊びやケンカの思い出がよみがえりましたね。
──キャストの皆さんとの交流はいかがでしたか?
逢坂良太さん(井沢優心役)とは以前から共演が多く、今回も収録後に「ご飯行こうか」と自然に集まることが多かったです。主にパスタを食べに行ってましたね。学生のノリのように、そこで本当に取り留めのない話をしたり。そうした雰囲気が現場にあって、作品の空気感とも重なっていました。
──見どころについて教えてください。
高校生編に入ると「遠足」や「蹴っ飛ばし事件」が描かれます。その中でも特に、井沢の転がり方は大きな見どころです。原作では「危ない、大丈夫か?」とハラハラするシーンですが、アニメでは少しコミカルに演出されていて、その違いを楽しんでいただけると思います。また、その一連の流れの中で、光輝がつい無意識に「朔英」と呼んでしまう場面があります。数年ぶりに自然に出てしまった呼び方で、2人の関係性を象徴する重要な瞬間でもありますので、ぜひ注目してほしいです。
──最後に、ファンの皆さんへメッセージをお願いします。
まずは、年齢含めて等身大の藤寺さん演じる朔英ちゃんの声をぜひ聴いていただきたいです。真っ直ぐで繊細な彼女の声が、物語の中心を支えています。第一声を聞いたときから、藤寺さんが朔英ちゃんを演じてくれてよかったなと僕ら一同思いました。まずは朔英ちゃんに会いに来てほしいです。その上で、彼ら・彼女らが織りなす友情や恋模様はもちろん、先輩・先生方の存在感も素敵なので、きっと皆さんそれぞれの学生時代の思い出と重ねて見られる作品です。ぜひ楽しんで見てほしいです。
©河原和音/集英社・「太陽よりも眩しい星」製作委員会