2024年8月16日(金)に全国ロードショーを迎えたアニメ『ゼーガペイン STA』。本作シリーズにとって重要な意味を持つ2024年8月31日(土)に舞浜・シネマ イクスピアリにて、イベント「『ゼーガペイン』リセット祭り 2024@舞浜サーバー」が開催された。登壇者は浅沼晋太郎さん(ソゴル・キョウ役)、川澄綾子さん(ミサキ・シズノ役)、下田正美監督。
浅沼さんが「舞浜の空はちょっと曇っていますけど、みなさんの心は『ゼーガペイン』を観たことで晴れていたらいいな」と、TVシリーズ第25話のサブタイトル「舞浜の空は青いか」にかけた挨拶をしてトークショーがスタート。8年ぶりとなる舞浜でのイベントということで、川澄さんは「『ゼーガペイン』に関わってから、自分にとって舞浜が特別な位置づけになった気がします。SF的な世界観なのに実在の土地が舞台で、舞浜を愛する人たちがいるからこの場所を守りたいという対比があって。それは実在する舞浜だからこそだなと、ここに向かうあいだに思いました」と舞浜愛を語った。
本イベントでは前作『ゼーガペイン ADP』、公開中の『ゼーガペイン STA』オルタモーダ編を上映。その意図について質問された下田監督は、2作がほぼ同時進行で企画されていたことに触れ、「今回の『STA』はTVシリーズの続きでありながら、『ADP』直結の続編として作らせていただいています。通して観ると、キョウVer.1(『ADP』のキョウ)の生き様が完結する感じです」と説明。TVシリーズではキョウが記憶喪失で、もう1人のヒロインであるカミナギ・リョーコの存在感が増していく展開になるため、忘れられたシズノが切ない立場になったことが心残りだったそうで、「『ADP』を作らせていただいたときに、キョウVer.1とシズノの決着を描かないと眠れなくなると思いました」と、本作に込めた強い想いを口にした。一方、川澄さんは「TVシリーズをやっていたときに、シズノが報われていないという感じはそんなにしていなくて。最後にキョウが思い出してくれただけで、シズノは十分だったんじゃないかなと思っていました。だから『ADP』で昔のキョウとシズノの関係が描かれて満足だったんですけど、まさかその先があると思っていなかったので、いいんですか?!という感じです」と満面の笑み。さらに、「今から考えると、シズノはよく高校生をやっていたなって。高3にしては憂いがありすぎますよね(笑)」と話し、会場の笑いを誘った。
続いては、事前に募集した質問に答えていくコーナー。特殊な用語や難解な世界観設定を2006年当時はどうやって理解していたのかという質問に、浅沼さんは「ずっと監督や音響監督に質問していた覚えがあります。例えば、パソコンの中にデータが入っているけど、外にデータを掴んで持ち出すことはできないからUSBを挿す。このUSBがアルティールで……と言われて、
“なるほど!
”っていうのを繰り返していました」と当時を懐かしんだ。川澄さんによれば、浅沼さんはそうやって学んできた世界観や用語の情報を毎週キャスト陣に共有していたという。
今回新登場したメカニックについて聞かれた下田監督は、オルタモーダが搭乗するオルティックゼーガに関して、「まだストーリーが何もない状態のときに、原作者の伊東岳彦から
“10年後のゼーガを作っておきたい
”という話があって、そこから10年後にホロニックローダーはどうなっているのかと考えて開発が始まったんです」と制作秘話を明かした。ここで浅沼さんから、アニメでさせたい動きからデザインを考えたのか、デザインが先にあってどう動くかを考えたのかという質問が。これに対して下田監督は、「『ゼーガペイン』ではまず世界観があって、そこで主人公たちが乗り込むためにはこういうギミックで、こういうデザインでなければいけないという……。主人公たちがもう死んでいるような状態なので、半透明でトランスルーセントな、儚い陽炎のようなロボットが美しいんじゃないかと。でも、デザイン自体は凶悪なんです」と詳しく解説した。
「本編では描かれなかったものの、会話をしたり、対決するなど交流している姿を見てみたかった・描きたかったキャラクターたちはいますか?」という質問では、トガ・ヴィタールなどTVシリーズにも登場するゲームのキャラクターの話題が出たり、「このキャラがガンナーだったら」といった想像が膨んだりして大いに盛り上がった。また下田監督から「表に出していない設定で、TVシリーズが作れそう」という気になる発言も。「シマの印象を教えてください」という質問では、シマを演じる坪井智浩さんに関するトークが繰り広げられ、下田監督が「坪井さんは本当にゼーガを愛してくださって。
“『ゼーガペイン』のアフレコ台本は全部残しておきます!
”と言われたんですが、僕は心の中で
“ありがとうございます。でもシマはあと数話で……。すみません
”と思っていました」と暴露し、会場に笑いが巻き起こった。
プレゼント抽選コーナーや関連商品の紹介、フォトセッションの後は、集まったセレブラントたちへメッセージ。下田監督は「こんな日が来るとは夢にも思っていませんでした。TVシリーズから18年経って初めてお話することができた内容もあって、有意義な時間でした。これからも頑張っていきますので、応援よろしくお願いします」。川澄さんはTVシリーズ第16話で舞浜サーバーがリセットされた2024年8月31日(土)をこうして共有できたことに感謝しつつ、「こうやって監督とお話するたびに、いくらでも『ゼーガペイン』のアイデアがあると知ることができて私自身もうれしいです。また何年後かに舞浜で会うことができたら」と今後の展開へ期待を寄せた。浅沼さんは、「僕は『ゼーガペイン』を幻が形になる物語だと思っていて。18年前はまさかこんな風景が存在するなんて……というものが形になって、最初はプラモデル1つだったのにいろんなグッズが発売されて、感慨深いなと。この先のゼーガを、希望をもっていろんな形で応援していただけたらなと思っています」と客席を見回しながら伝えた。最後は『ゼーガペイン』のイベントでは恒例となっている挨拶。川澄さんの「せーの!」の声に合わせて、観客を含めた全員で「エンタングル!」と叫び、イベントは幕を閉じた。
🎦 作品情報
🔘『ゼーガペイン STA』
▶劇場公開
2024年8月16日(金)より特別上映
▶ストーリー
ガルズオルムとの最終決戦──プロジェクト・リザレクション──を完遂したセレブラントたちは、世界各地の残存部隊との戦いを続けていた。セレブラントとして舞浜サーバーを守った「ソゴル・キョウ」は、雪が降りしきる冬の舞浜で目を覚ます。「ずっと夏にいた気がする……」記憶の欠損に困惑するキョウだったが、そこに新たな脅威・オルタモーダが出現する。自らをヒカリタツモノと名乗る「ハル・ヴェルト」はサブスタンスシェイドと呼ばれる未知の能力で襲ってくる。AI「ルーパ」の助けにより、これまでの記憶をダウンロードしたキョウは光対装備で対抗することになるが、これは互いの世界と存在をかけた戦いのほんの序章に過ぎなかった……。
▶スタッフ
企画・制作:サンライズ
原作:矢立肇、伊東岳彦
脚本:高山カツヒコ
キャラクターデザイン:山下明彦、鈴木竜也、田頭真理恵
デザインディレクター:ハタイケ ヒロユキ
メカニックデザイン:中原れい、神宮司訓之、やまだたかひろ、福島秀機、石渡マコト(ニトロプラス)、柳瀬敬之
オルタモーダデザイン原案:菊[kicdoc]
色彩設計:柴田亜紀子
美術:海野よしみ(プロダクション・アイ)
CGディレクター:佐藤光裕
撮影監督:倉誠
編集:野尻由紀子
音響監督:濱野高年
音楽:大塚彩子
監督:下田正美
製作・配給:バンダイナムコフィルムワークス
▶キャスト
ソゴル・キョウ:浅沼晋太郎
カミナギ・リョーコ:花澤香菜
ミサキ・シズノ:川澄綾子
マオ・ルーシェン:朴璐美
ルーパ:久野美咲
メイウー:牧野由依
メイイェン:渡辺明乃
クリス:家中宏
ミナト:井上麻里奈
ハル・ヴェルト:河西健吾
ギテン:寺島拓篤
セフト:寺崎裕香
ミルヒ:黒沢ともよ
バスフォータ:石川由依
シド:花江夏樹
トーヤ:杉田智和
ツクルナ:島袋美由利
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