2024年8月にリリースされた1stハーフアルバム「heart bookmark」を引っ提げて行われた水瀬いのりさんの自身最大規模となるライブツアー「Inori Minase LIVE TOUR 2024 heart bookmark」。2024年9月15日（日）に神戸・ワールド記念ホールで幕を開けた本ツアーのファイナル公演が、本日2024年11月3日（日）に千葉・LaLa arena TOKYO-BAYで開催された。

　オープニングムービーではこれまでのライブを象徴するアイテムが飾りつけられた本棚から一冊の大きな本を取り出し、自身の音楽活動の思い出が綴られたページを愛おしそうにながめる様子が映し出される。途中のページにしおりを挿んで立ち去ると、残された本の表紙に書かれていたのは本ツアーのタイトル。ライブは華やかなアップチューン「We Are The Music」からスタート。アルバム「heart bookmark」および本ツアーのアートワークのロケ地・パリの街並みをイメージした舞台セットに立ち、「千葉day2、ファイナル、一緒に楽しんでいきましょう！」と元気よく声を上げる。本ツアーで導入された腕輪型のシンクロライトが会場を水色に染め上げる。

　続く「Sweet Melody」でみんなへの“ありがとう！”の気持ちを歌詞だけでなく直接言葉にして伝えると、MCではトリコロールカラーのクラシカルな衣装をアピール。柔和な表情を浮かべて歌う姿が印象的だった「Ring of Smile」、カフェチェアーに腰掛けながらお洒落に魅せた「ほしとね、」、街頭が灯るベンチに座りながら届けた切なくも温かな歌声が心に沁みる「ソライロ」を続けて披露。アルバム収録曲を軸にし、彼女自身がいま届けたい「お気に入り」の歌が織り込まれた構成で観客を引き込んだ。

　いのりバンドのメンバー紹介を終えると、ラテン語で“苺”の意味を持つ楽曲「フラーグム」では苺をイメージした真っ赤なドレス衣装に着替えて登場。欧風建物の2Fバルコニーかた、TVアニメ『アクロトリップ』オープニングテーマに採用されている同楽曲を届けた。次曲「Kitty Cat Adventure」では恥じらいながらもネコ風の愛らしい振り付けを披露し、会場からはひと際大きな歓声が上がった。

　バンドメンバーとのツアーの思い出話に花が咲いたMCパートを経て、「heart bookmark」より「グラデーション」では語り風のパートを含め様々に色づいていく歌い口で感情のグラデーションを表現。ノスタルジックなミディアムナンバー「夏夢」は楽曲の展開に合わせてステージライトの色味が淡く移り変わっていく。

　パリでの撮影風景を本人のコメントと共に紹介する幕間映像を挟んで、続いてのブロックは「スクラップアート」で幕開け。光沢のある煌びやかな衣装に身を包み、「アイオライト」を伸び伸びと歌唱。彼女いわく“かっこつけゾーン”とのことで、アーティストとしてのスタイリッシュな一面をアピール。

　その後のMCで「思い出やあの日を思い浮かべながら聴いて欲しいです」と告げて歌われたのは「八月のスーベニア」。続く「三月と群青」もかつての“思い出”をモチーフにしたロックナンバーで、変わっていく景色と変わらない想いをエモーショナルに熱唱。代表曲のひとつ「Starry Wish」では力強さだけでなく包容力も感じさせるボーカルでさらなる進化を見せつけた。

　バンド演奏コーナーを経てステージ上手の建物にランタンが灯る。アシンメトリーの優美な衣装にポニーテールという姿で登場すると、歌うのは「燈籠光柱」。会場には観客の「La La La♪」と歌う声が大きくこだました。胸元に手を当てながら慈愛に満ちた表情で届けた「My Graffiti」、日常の輝きと自由で筋書きのない未来への希望を込めた「glow」と続け、会場を見渡して感慨深げな表情を浮かべる。MCでは「私の心の中にあるいろんな気持ち、普段だったら言葉になかなかできない気持ち」をみんなに伝えたくて、この日のセットリストを一生懸命考えたと語った。

　ライブ本編の最後に選ばれたのはツアータイトルでもある「heart bookmark」。「最後はみんなで特大のブックマークをしましょう！」と呼び掛けると、バンドの躍動感溢れる演奏に乗りながら心から楽しそうに歌声を届け、その笑顔に観客も大合唱で応える。水瀬さんが自撮り棒を取り出して客席やバンドを撮影するなか、会場中が一体となって“We are all right!”と何度も繰り返し歌い、会場が一体となってライブ本編は終了した。

　沸き起こる“いのりんコール”を受けて、自身考案のオリジナルキャラクター“くらりちゃん”フロート（フレンチバージョン）に乗って登場。アリーナを回遊しながら「Step Up!」と「笑顔が似合う日」をファンのそばまで近づいて会場中に隈なく届ける。MCではFCイベント「いのりまち町民集会2025」の開催と、本公演の模様が2024年11月29日（金）にオンライン配信されることを発表。「私たちはいつでもこの旗のもと、待ち合わせできますよね？」と約束を交わすと、ラジオ番組『水瀬いのり MELODY FLAG』のテーマソング「MELODY FLAG」を歌唱。ツアー7公演目ということで、会場のみんなで7回ジャンプをして盛大にライブを締め括った。

　客席からの「もう一回」コールを受けて最終日だけのダブルアンコールも実現。「自分らしく、自分のままでいいんだって、ここ数年すごく思えたり、言っていただけたりしていて」「本当に続けてきて良かったなと思います」と語り、改めてファンに向けて感謝の気持ちを伝える。そして「私のライブの始まり、1stライブのタイトルにもなったこの曲で、次の未来に出発しましょう！」と告げて歌われたのは、定番のタオル曲「Ready Steady Go!」。ステージの左右をダッシュしながら「（タオルを）回して─！」と会場を煽り、お互い持てる限りのエネルギーを出し尽くしてツアーファイナルを完走。「この先も皆さんに会える機会が待っていますので、今日の思い出を大切にブックマークして、また未来で皆さんと一緒に新しい思い出をブックマークできる日を楽しみにしているので、皆さんそのときはぜひ会いに来てくれたらと思います」と挨拶した。

【セットリスト】
01.We Are The Music
02.Sweet Melody
03.Ring of Smile
04.ほしとね、
05.ソライロ
06.フラーグム
07.Kitty Cat Adventure
08.グラデーション
09.夏夢
10.スクラップアート
11.アイオライト
12.八月のスーベニア
13.三月と群青
14.Starry Wish
15.燈籠光柱
16.My Graffiti
17.glow
18.heart bookmark
《アンコール》
19.Step Up!
20.笑顔が似合う日
21.MELODY FLAG
22.Ready Steady Go!