2024年2月〜2025年1月に放送されたTVアニメ『わんだふるぷりきゅあ!』。本作のBlu-ray vol.1購入者限定スペシャルイベントが、最終回目前となる2025年1月18日(土)にハイライフプラザいたばしで開催された。出演は長縄まりあさん(犬飼こむぎ役)・種ア敦美さん(犬飼いろは役)・松田颯水さん(猫屋敷ユキ役)・上田麗奈さん(猫屋敷まゆ役)。4人はキャスト陣が客席を通ってステージへと登場し、それぞれのキャラクターの変身時の名乗りで挨拶した。
残り2話となった今の心境を尋ねると、松田さんは「実感があまりないかもしれない。終わるのかな?って感じです」、長縄さんは「あまり自覚がないかもしれない。もしかしたら視聴者の皆さんと同じ気持ちかもしれません」、種アさんは「私もよくわからないんです。でもずっと
“わーっ
”てなっていていて……。最終回が終わった後に実感するのかなって。まだよくわかっていません」と、気持ちが整理しきれていない様子。一方で上田さんは「わたしは自覚があるかもしれないですね。アフレコが終わったのがちょっと前で、新しいプリキュア(『キミとアイドルプリキュア♪』)さんの情報が出てきて、バトンタッチするんだなって実感が湧いてきました。また、最終回のアフレコの時にスタッフさんからお手紙をいただいたんです。最初はすぐに読もうかなと思っていたのですが……やはりオンエアが終わってから読もうかなと。最終回に近づくにつれて、読むぞ、読むぞと思っていたら、少しずつ実感が湧いてきました。きっと読んだら泣いちゃうんだろうなと思いながら日々を過ごしています」と語った。
ここからは事前アンケートをもとにしたテーマに沿って、1年間を振り返っていく。最初のトークテーマは「印象的なご自身のエピソード」。長縄さんは作品関連イベントでの思い出を「お友だちが一緒に踊ってくれたり、身振り手振りで盛り上げてくれたりする姿がとても印象的でした」と思い起こす。さらに「そのお友だちを見守るご家族の姿がまた素敵で、みなさんの愛を感じられたことで、幸せな気持ちになりました」と、作品を通じた温かい交流に感動したことを語った。
種アさんは「ご迷惑をおかけしてしまったので、言葉にするのは難しいのですが……」と前置きした上で、体調不良でしばらく収録に参加できなかった時期に言及。「会えない時間にみんなのことを考え続けていました。毎日いろは!いろは!っていうこむぎの声が聞こえてくるようでした」と当時の想いを吐露。久しぶりに現場に戻った際には「会える嬉しさがいちばんにありつつも、すごく緊張していたんです。でも、いざ会うと
“待ってたよ
”って温かく迎えてくれて。まゆちゃん(上田さん)とユキちゃん(松田さん)に会ったときは平常心でいられたのですが、こむぎ(長縄さん)と目が合った瞬間一気に涙が溢れました。自然と抱き合って……待たせてごめんなさい、って何度も繰り返しました」。その瞬間を目撃した上田さんは「見ちゃった!」と笑いつつ、「本当に、今話していたそのままの光景が目の前で繰り広げられていました。言葉以上に想いがあふれていて、もうこれは2人の世界にしておこうって思いました」とコメント。「休んでいる間にあっちゃん(種アさん)が、私たちにお手紙を書いてくれたり、LINEを送ってくれたりして。あのときは信じられないくらい泣きました」とも。キャスト陣からは種アさんからの手紙の返事として動画メッセージを送ったそうで、その際に「ふたりはあっちゃんって呼んでるのに、我だけずっと『種アさん』って呼んでいて、距離遠い!って(笑)。そこから『あっちゃん』って呼ぶようになりました」と関係性が変化したことも明かした。
松田さんの「印象的なエピソード」は、『わんぷり』出演が決まったときに「双子の姉(松田利冴さん)がニャミーカラーのイヤリングをプレゼントしてくれた」こと。「毎年『プリキュア』オーディションを受けては落ちて。その姿をいちばん近くで見ていた姉が、ボロボロ泣きながら喜んでくれました。しかもプレゼントまで用意してくれて、本当に受かったんだと実感しました」。その大切なイヤリングはこの日も身につけていて「見えるかな?」と観客に見せる一幕も。普段は『プリキュア』20周年を記念して発売されたアクセサリーポーチに仕舞っているそうで「他にも麗奈と一緒に買った色違いのアクセサリーや、まりあからもらったアクセサリーなど、宝物を入れています」と教えてくれた。
上田さんは「素敵なエピソードばかりでどうしよう……
“こわくない、こわくない
”(笑)」と自身に言い聞かせつつ、オーディション時を回顧。これまでの経験を鑑みて、今回がラストチャンスだと思い挑んだとのこと。そんな中、「どの役をオーディションで受けるかは自分で選んでいい」とマネージャーさんに初めて言われ、「全キャラ録音しましたが、縁を感じたまゆちゃんの声を提出しました。その後、スタジオオーディションに進んで。スタジオオーディションは毎回緊張するんですけど、今回はなぜか1ミリも緊張しなかったんです」と自然体で挑めたことを明かす。オーディション時のセリフは「ユキかわいい〜!」だったそうで、「私の猫に対する気持ちと一緒だと。まゆは特に序盤はユキに支えられていましたが、上田麗奈自身もユキの存在に支えられていたように思います」。オーディションは肩の力を抜いて挑めた一方で、第1話の収録は緊張しすぎて松田さんに手をつないでもらったという裏話も。ちなみに犬組のオーディションは「真逆だった」と種アさん。「(緊張しすぎて)私たちは全部声が裏返っちゃって。ふたりとも『受かってよかった』って思っていました」と笑いながら話した。
続いてのトークテーマは「ペットや動物たちとのエピソード」。長縄さんは実家で飼っている文鳥とのほっこりとするやりとりを、種アさんと上田さんは愛猫との絆、飼い主としての責任を感じた出来事をそれぞれ披露し、客席から温かな拍手が送られる。話を聞きながら思わず泣いてしまった松田さんは、友人宅の警戒心の強い猫と初対面した際、飼い主の協力もあって少しずつ距離を縮めることができたというエピソードを披露した。
次のトークテーマは「もし自分がアニマルタウンに住めるとしたら、どこで何をしたいか?」。「めちゃくちゃある!」と意気込む種アさんは「こむぎがへそ天して寝てるところを一日中眺めたい! それから、いろはちゃんちのドッグランで一日中わんちゃんたちを眺めさせていただきたいというのと、剛さんの手料理をいただきたいのと、Pretty Holicですみれさんやまゆちゃんにコスメを見繕っていただきたい……!」と次々と理想の過ごし方を挙げていく。松田さんは「私もコスメが大好きなので、Pretty Holicに行きたい! コスメを買いつつ、気になっていないふりをしながらユキちゃんをチラチラ見たい(笑)」、上田さんも「Pretty Holicに行きたい。看板猫をしているユキちゃんを見たいし、すみれさんの接客も受けたいし、すみれさんがよく歌っているうたを直接聴きたいなって。それと猫集会の輪に入っているユキと、もしも来てくれるならこむぎの姿を見たい。可愛いだろうなあ……」と想像を膨らませていた。
長縄さんは「いろはとこむぎのお買い物についていきたい!」と回答。いろはと悟のデート回(第37話)を振り返り「ショッピングモールで(まゆとユキと)買い物をしているこむぎの姿がすごく可愛いって(種アさんが)言ってくれて、確かに!となりました。こむぎは普段パーカーを着ていて。たまに衣装チェンジがありますが、それは一体どこで買ったんだろう?と考えると、もしかするといろはと買いに行ったのかなと。そのふたりの買い物姿を壁になって見ていたいな」とにっこり。
次のテーマは「私の選ぶ1エピソード、1シーン」。イベント開催時まで放送された48話分の中から特に心に残ったエピソードなどをそれぞれの視点から紹介した。長縄さんは第23話「願い事はワォ〜〜〜〜〜ン」の、いろはが「きれいだね、こむぎ」と自然に声をかけるシーンを。「自分が感じたことをみんなに伝えたいのに、うまく言えない。そんなとき、いろはだけは何も聞かずに察してくれるんです。『どうしたの?』と直接尋ねるのではなく、そっと寄り添うように『きれいだね、こむぎ』と声をかけてくれる。その言葉に救われた気持ちになりました」。このエピソードの収録は種アさんが収録をお休みしていた時期。こむぎを演じながら、いろはの優しさに触れるたびに「あっちゃんの声が恋しい、いろはに会いたい」と思う瞬間があったと話す。「そんなときそばにいてくれたのが、猫屋敷家のふたり。おかげで寂しくなくて、あくまで恋しいという感覚でした。ただ、こむぎのことを理解してくれるいろはがいないのは寂しくもあって、寂しさにも種類があるんだなと……」としみじみ。その話を聞きながら、キャスト陣も思わず目頭を押さえる。その前の第22話「わんだふるご〜!」の時、種アさんは「あのときも私がいなくて、でも(こむぎといろはが)ふたりで力を合わせる回で。連絡したら逆に良くないのかなと思いつつも、我慢できずに『いっしょに録れなくてごめんね』と連絡してしまいました」と、当時の葛藤を言葉に詰まらせながら伝えた。
さらに「私は22話も、もちろん23話も大好きです。今回のお題も、選び始めたらこむぎでいっぱいになってしまうので」、あえてキャスト陣の素敵なアドリブという角度から話数をピックアップ。「頑張って3つに絞りました!」と紹介したのは、第13話「キュアニャミーを探せ!」の、すみれ役・斎藤千和さんが披露した鼻歌のこと。第37話「みんなで初デート!?」で、ふたりのデートに驚き、思わず「トリミング」と言えなかった父・剛役の白熊寛嗣さんのアドリブのこと。そして、第40話「ワンニャン大事件」の、悟のモノローグの後半部分が実は寺島拓篤さんのアドリブだったこと。思いがけない制作裏話に客席からは驚きの声が上がった。
一転、ステージ・客席からすすり泣く声が響いたのが、上田さんがピックアップした第44話「たくさんの幸せ」のお話。動物の寿命という現実、飼い主と動物の関係性が描かれたフクのエピソードは、放送時も視聴者の心を揺さぶった。「お鶴さんが号泣している姿を見て、私も号泣してしまって。いろいろな表情のフクちゃんがプリントされたブランケットが映る瞬間も泣いてしまいます。一緒に過ごす最後の時間、
“最後のお願い
”と通じ合う時に、フクちゃんの目がハッピーになったように感じました。お鶴さんへの愛情も伝わってきて、ニコ様もわかっているよという表情をしていて。これを描くアニメーターさんたちは本当にすごい!」とスタッフ陣を称えた。さらに「大好きだよ、って伝え合えて、ああ、良かったなあって。そういう関係って本当に素敵だなって思いました」「この作品のテーマともリンクしている話数だったなって」と想いを馳せた。
その話を聞きながら長縄さんのセリフ(「眠たいから、抱っこしてって言ってるよ」とフクの気持ちを代弁する場面)も素敵だったと切り出した松田さん。「あのシーンはすごく難しくて、おうちでVチェックしている時は一度も言えず、今日は言えるのだろうか……と思いながら現場に向かいました」と伝え方を悩んだことを明かす。種アさんはお鶴役の相川奈都姫さんも同じ経験をしていたことに触れ、収録後「フクちゃんと同じように頑張ってくれたワンちゃんが、最後の瞬間に立ち上がってなっちゃんの腕の中に来てくれて、その中で……ということがあったと教えてくれたんです」と明かし、そこからつながった第45話のセリフのニュアンスについても言及。次に話す予定だった松田さんがしばらく言葉を詰まらせてしまう場面も。
改めて、作品・キャスト陣が伝えてきた「命の尊さ」や「大切な存在のパートナーと過ごす時間の大切さ」を感じる時間を経て「……すみません、おまたせしました。平常心を保つのが大変で!」と気持ちを切り替える松田さん。松田さんが選んだのは、第46話「メェェェリィクリスマス!」です。「『プリキュア』を見ていた幼少期の自分が蘇ったような気持ちになりました」と前置きし、物語の後半、ユキが4色の流れ星を眺めながら「きらめく世界、悪くない」とつぶやくまでのシーンが、松田さんにとって特に心に残ったと語った。「まるで白と黒だけだった世界に、新しく色がついていくような感覚でした。何十話とかけて積み重ねてきた物語が、ここで改めて感じられました。しかも、この回の放送前のインタビューで「プリキュアとは、流れ星みたいな存在」と答えていたんです。ユキちゃんも同じように感じていたのか!と衝撃的でした。今までも忘れられない回はたくさんありましたが、これは『人に見てほしい』と心から思えた1話でした!」と力を込めた。
さらにトークは「プリキュア以外の仲間たちとの絆」へと展開。悟、大福やメエメエ、ニコ様、キラリンアニマル、アニマルタウンの住人や家族など、個性豊かな仲間たちのことや、敵対するキャラクターのガオウ、ザクロ、トラメについても話題に。さらに敵側のキャスト陣にも触れ、「第45話のトラメが浄化される回ではトラメ役・松井恵理子さんが(トラメの服に合わせて)黄色いお洋服を着ていらしていたんです。我もその日、大事な回だと思って黄色い服を選んでいて。キャラクターのカラーを大切にする感覚が、トラメたちにもあるんだなって……。変な話、敵ではない。同じ
“大切
”を共有しているようで、めっちゃ嬉しかったです」と笑顔で語った。
敵側のさまざまなキャラクターの声を担当した高橋伸也さんについては「伸也さんがすべてのガルガルを毎回担当してくれていて、あのお芝居もお人柄も本当に素敵なんです。『わんぷり』の空気感がよりポップで明るくなるんですよね。すごく救われました」と上田さんから感謝の言葉が。さらに、種アさんは高橋さんとのやりとりがきっかけで、キャスト陣で写真を撮りあったことを説明。「私は伸也さんもプリキュアだと思っています。もしかしたら一番じゃないかなと思うくらい作品のことを常に考えてくれていますし、それくらい、『わんぷり』にいなければならない方」と力強く語った。
最後のトークテーマは、残り2話となった物語の見どころについて。松田さんはスバル役(ガオウ役)・大塚剛央さんについて、「最初にガオウ様を大塚さんが演じられると聞いたときにびっくりしたんです。『プリキュア』のラスボスは大先輩が演じているイメージがありました。大塚さんがキャスティングされた意味が、より感じられるんじゃないかなと……まあ、わからないけどね」とニヤリ。「スバルの気持ちも……その声と共に、痛みを伴いながら重く響いてくるはずです。見ている皆さんも、その想いをしっかりと受け取ることになると思います」と、少し苦しげな表情を浮かべながら長縄さん。「でも間違いなく最後の最後まで、あぁ『わんだふるぷりきゅあ!』だ…となるはずです」と種アさん。それに同意する上田さん。作品が『わんぷり』らしい形で結ばれることを言葉の端々から感じさせ、客席からは期待を込めた拍手が沸き起こった。
イベントはついにエンディングに。上田さんは「会場に入った瞬間から、皆さんの熱量と愛情を感じました。残すところあと2話。前回の放送で、友だちを大切に思う心があったことがわかって、私たちと同じなんだなって。アニマルタウンのみんなも、スバルもそうなんだって。ああ、『わんぷり』だなと思いました。最後まで見届けていただけたらと嬉しいです」、松田さんは「皆さん、『わんぷり』を見ながら泣いたことがあるでしょうか? ……深い頷きをありがとうございます(笑)。松田颯水も家でティッシュを抱えて見ています。油断すると泣いてしまうんです。でも、その涙はあたたかいもの。そして、最後まで、『わんぷり』だと思います。1年間、一緒に走ってくださったことが本当に嬉しいです。ここに来てくださっている皆さんは、より濃厚な想いを持っている方々だと思います。お話を聞いてくださってありがとうございました」、種アさんは「この1年間ずっと、みんなと会えなかった時間はより、『わんぷり』のことを考えない日はなかったです。最終回のアフレコが終わっても、やっぱりまだ実感がなくて。本当に最終回の放送まで全部が終わってから、何かが分かるのかなと思っています。今日も言葉にするのが難しいですが、『わんぷり』のおかげで、これまでの自分、これからの自分を考えるきっかけにもなりました。最後まで一緒に見守っていただけたらと思います」、長縄さんは「あっという間の時間でした! まだ話し足りないと思うくらいですが、それは感謝祭に取っておきたいなと思っています。そして、みんなでお話をしていく中で、そう考えていたんだ、すごく素敵だなと思いながら聞いていました。あと2話残っていますが、応援してくださった皆さんの前でお話できたことが嬉しいです。制作裏も、あたたかい、優しいことばかりでした。作品自体もすごく優しく、温かいです。きっと応援してくださった皆さんも温かいに違いないと思います。私たちは優しいのかたまりということで……!(笑)。最後まで楽しみにしていてください!」と挨拶し、イベントは幕を下ろした。
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