2011年7月から9月までTBSほかにてTV放送され、衝撃的な展開で話題となったアニメ『BLOOD-C』。その完結編となる『劇場版BLOOD-C The Last Dark』が、6月2日(土)に全国ロードショーを迎えた。新宿ピカデリーでは初日舞台挨拶が開催され、主人公・小夜役を演じ、主題歌も担当している水樹奈々さん、七原文人役・野島健児さん、殯蔵人役・神谷浩史さん、柊真奈役・橋本愛さん、そして塩谷直義監督の5名が登壇した。
――小夜をTVシリーズからずっと演じてこられましたが、水樹さんから見て、小夜はどんな女の子ですか?
水樹 劇場版では別人のようになってしまうので、TVシリーズで鼻歌を歌っていたころが懐かしいです(笑)。すごく格好良くて凛としていて、共演者の皆さんには「新しいタイプのヒロイン像だね」と言っていただけました。劇場版の小夜はTVシリーズのときとはアプローチは違うんですが、芯の部分はずっと変わらないように思います。自分のためじゃなく誰かのために戦っているところが、すごく魅力的な女の子です。
――劇場版の小夜にはどのようにアプローチしていったのでしょうか?
水樹 小夜は台詞が多くないのですが、淡々とした台詞の中に思わず零れてしまった本当の心を少しずつ匂わせていけたらいいなと思いながら演じました。。出し過ぎてもダメだし、隠しすぎてもダメだし、その微妙な力加減が一番難しかったです。
――同じくTVシリーズから引き続きの登場となる文人ですが、野島さんは文人の人間像をどのように受け止められていますか?
野島 TVシリーズでは、最初はなんていい人なんだろうと思ったんですが、怖いくらいにいい人だったんで、これはきっと何か隠しているんだろうと思っていました。しかし、隠していたものがこれほどのものかと正直戸惑いもありましたが、あるとき、これは文人の愛から生まれたものだと分かり――
水樹 もっと他のやり方はなかったんですかね〜?(笑)
野島 多分……初めて人を好きになったんじゃないかなと(笑)。きっと中学生のように、恋愛に対してピュアだったんだと思います。
――劇場版での文人を演じるにあたり、こだわった点などはありますか?
野島 TVシリーズの最終回で本心が露わになったのですが、その心の深いところにある闇を、劇場版ではもっともっと膨らませていければと思って演じました。
――橋本さんは今回声優初挑戦ですが、声優をされてみていかがでしたか?
橋本 初めて声だけでお芝居をすることになって、改めて声優さんを尊敬しました。私のお芝居はこれまで動きもあってのものだったので、今回新しいお芝居に出会えました。とても難しくて、声優さんに対しては尊敬の一言です。
――橋本さんは柊真奈をどのように捉え、演じられましたか?
橋本 まず最初に受けた印象は、控えめで大人しくて、一見か弱そうだったんです。前半はそのイメージに沿って、小夜ちゃんと相対するようなキャラクターになるように演じ、後半では真奈ちゃんの芯の強い部分を出していけたらいいなと思いながら演じました。
――神谷さんは殯蔵人をどのように演じられましたか?
神谷 非常に難しい役でしたね。TVシリーズを踏襲しての劇場版ですので、DVDをお借りして年末年始にかけてTVシリーズを見させていただいたんですが、非常に血生臭い正月を過ごさせていただきました(笑)。TVシリーズの先のお話ということで期待していたんですが、
“愛
”という言葉を使って、まさかこんなことになるとは……。殯も文人と同様、歪んだ愛の持ち主で、彼が最後に言った台詞――台本でも絶叫のようになっていて、言葉は部分的にしか書かれてなかったんですが、「ここは何と言っているんでしょう?」と監督に聞いてみると……「どういうこと!?」と驚きました。
水樹 舞台挨拶の前にみんなで上映を少し見たんですが、神谷さんと野島さんがカップルシートに座って見ているところを見て「ああ〜!」って思いました(笑)
神谷 ちょっと奈々ちゃん!(笑) それはたまたまですけど、これは歪んだ愛情の物語なんだなと改めて思いました。
――塩谷監督は劇場版アニメが初監督だったそうですが、実際に制作されてみていかがでしたか?
塩谷 劇場版だからという苦労は特になかったように思います。先ほどから皆さんが
“歪んだ愛
”を連呼されてますが、私は純愛を描いたつもりだったのですが……(笑)
――水樹さんは主題歌「METRO BAROQUE」も歌われていますが、この曲にはどのような想いを込められましたか?
水樹 主題歌は映画本編が終わった後に流れるということで、皆さんになるほどと思ってもらえるような、物語にリンクした曲にしたいと思い、小夜の視点から詞を書きました。小夜は人との接触をできるだけ避けているのですが、その一因に、TVシリーズで周囲の人たちに裏切られたトラウマと、これ以上被害者を増やしたくないという優しさがあるからだと思う人です。でも本心ではきっと人との温もりを求めている…、そこをこの曲から感じていただけたらいいなと思います。
――お気に入りのシーンを教えていただけますか?
水樹 やはり大きな〈古きもの〉に立ち向かっていくシーンでしょうか。まさか〈古きもの〉がここまで巨大化するとは思わなくて、びっくりして(笑)。アフレコをしたときにはまだ映像が完成していなかったんですが、台本のト書きに「〈古きもの(大)〉から出てくる、〈古きもの(中)〉。〈古きもの(中)〉から出てくる、〈古きもの(小)〉」って書いてあって、「これは大変なことになってる!」と思いながらアフレコしたことをすごく覚えてます(笑)
野島 その大きな〈古きもの〉は文人にとってウェディングケーキだったんじゃないかなと……。
水樹 要りません!(笑)
野島 できる限りの愛を込めたつもりなんですが(笑)。僕が気に入っているのは、冒頭の10分。初めてそのシーンを見られた方は、作品にぐっと引き込まれたと思いますが、冒頭では心に迫るような重大な事が起きています。2度3度と見ていただければ、ここは涙なくしては見られないと思います。
橋本 私は血生臭いシーンが苦手なので、日常生活のシーンが見ていて安心できました。真奈ちゃんがお風呂でのんきに歌を歌っていたところで小夜と出くわすシーンなんかが好きです。
神谷 TVCMなんかにも使われている、学校内で小夜と文人が邂逅し、絶叫しながら斬りつけようとするシーン。そのアフレコをしている奈々ちゃんが超格好良くて、奈々ちゃんが言っていたように
“新しいヒロイン像
”を象徴するシーンだと思いました。
塩谷 それぞれのキャラクターが持つ事情などを、ポイントポイントに仕込んでいます。そういったものを探していただくのも面白いかなと思います。
――ありがとうございました。
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