2022年4月29日(金)より公開中のTVアニメ『輪るピングドラム』編集劇場版『Re:cycle of the PENGUINDRUM』前編「君の列車は生存戦略」。本作の公開記念舞台挨拶が、2022年5月5日(木・祝)こどもの日にグランドシネマサンシャイン池袋で開催された。登壇者は木村昴さん(高倉冠葉役)・木村良平さん(高倉晶馬役)・荒川美穂さん(高倉陽毬役)・三宅麻理恵さん(荻野目苹果役)らメインキャストと幾原邦彦監督。
「ROCK OVER JAPAN -トリプルH featuring プリンチュペンギン-」のBGMに合わせて、キャスト陣と幾原監督が登壇。公開から一週間が経った中、映画を観た人たちの反応や反響をまだあまり実感していない…という幾原監督に対して、木村昴さんが客席に向かって「(感想を)届けて〜!」とリクエスト。ら笑いと大きな拍手が湧いた。
前編についての感想を聞かれた幾原監督は、「(TVシリーズを再構築ということで、)どうしてもダイジェストになりがちなってしまうので、キャラクターの気持ちにフィーチャーしてカットをつなげようということで、このような形になった」と、構成について解説。その話を受けて木村昴さんは、「10年前に放送した『輪るピングドラム』という作品をもう一度観るというよりも、新しい作品を観ている感覚になった。それが素晴らしい」と話し、特に冒頭の実写映像を駆使したシーンでは、現実の世界に彼らが存在しているような不思議な印象を受けるとのこと。さらにキャスト陣一同が声を揃えて、「劇場版は既にTVシリーズを観た人も、もう一度観返したくなる作品になっている」と語った。
続いてお気に入りシーンや注目してほしいシーンについて聞かれると、幾原監督は「サウンドは今回の映画の中で重要な要素」だと話し、さらにエンディング映像に仕掛けられた演出についても、第1話〜第12話にかけてストーリー上で展開される内容を表現していると明かした。この話に三宅さんは「鳥肌が立った」と興奮した様子を見せ、木村昴さんが「マジですか!知らなかった。気づいてました?」と観客へ問いかける。すると数名の手が挙がったことに一同驚きを隠せず、感嘆の声を漏らす一幕も。
お気に入りシーンや注目して欲しいシーンについて木村昴さんは、冠葉が自らの気持ちを吐露するシーンをピックアップ。「今まで冠葉が自分の気持ちをはっきりと言うことは多くなかったので、バシッと言い切ったところがとてもエモく、すごく印象に残っている」。
木村良平さんは完全新作パートで重要な場所となる「そらの孔分室」の演出について触れ、台本を読んだときは全然意味が分からなかったけれど、収録に臨んで映像を見て、「ああ!こうなるのか!」と納得がいく感覚になったのが10年前を思い出して懐かしいと話した。
荒川さんは劇場版で収録し直したというプリンセス・オブ・ザ・クリスタルのアフレコ話や、新キャラクターのプリンチュペンギン(CV.上坂すみれ)が付けているスタイのリボンの色や演出で、「あっ!」という気づきと感動があったことを嬉しそうに語る。
三宅さんは「お姉ちゃん!」と声を高らかにして、自身が演じる荻野目苹果の姉・荻野目桃果(CV.豊崎愛生)の魅力をアピール。「劇場版におけるお姉ちゃん(桃果)の美しさを見て欲しい」と語った。
劇中挿入歌のトリプルHによる新曲についての話題となり、前編では「ROCK OVER JAPAN -トリプルH featuring プリンチュペンギン-」をはじめ、完全新録の「YELLOW BLOOD」「ファクトリー」がとある印象的なシーンで使われている。「YELLOW BLOOD」は、「ROCK OVER JAPAN」とテンションが似た盛り上がるサウンドで、ノリノリで歌えたという荒川さん。三宅さんも10年前に初めてトリプルHで「ROCK OVER JAPAN」をレコーディングした時を思い出しながら、当時の勢いを取り戻す気持ちで収録に臨んだと話した。
三宅麻理恵
みなさんとこの場でお会いできてすごい「デスティニー」を感じます!7月には後編もありますし、前編はまだ公開されたばかりということで、いろんな考察をしながら、より深くこの作品を愛してもらえればなって思います。
荒川美穂
今日は劇場版をご覧いただいたばかりの皆様と、この時間を共有できて本当に嬉しいです。これから後編も控えておりますが、まだまだ前編を何度も観て頂いて、「映像に注目してみる」「音に注目してみる」など、いろんな楽しみ方ができると思いますので、何度も楽しんでいただけたら嬉しいです。
木村良平
まずは本当に会場まで足を運んでくださって、直接観て下さったことを感謝致します。そして劇場で上映するための音で作られた映画を劇場で観ていただくのが一番贅沢だと思いますし、この時間が皆さんにとって良き時間になっていたらいいなと思います。繰り返し観て頂けたら嬉しいんですけれども、それ以上に、こうして10年越しに新たなものを作る機会に恵まれた作品なので、皆様の声でぜひ、この作品を知らなかったという人に新たに知っていただいて、たくさんの方に改めて観ていただけたらと思います。
木村昴
今日、皆さんのお顔を拝見して、(登壇者の)みんなと色々なお話をして、改めて『輪るピングドラム』というすごい作品に携わっていること、すごく幸せに感じました。後編もまだございますし、ピンドラ旋風をともに巻き起こせていけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。後編でまたお目にかかりましょう。
幾原邦彦監督
関係者一同優しい言葉が好きなので、優しい言葉で「ピンドラすごいぜ!」ていうのを広めていただけたらと思います。7月の後編公開に向けて、GWもスタッフは休まず作業をしています。そのスタッフの熱意を以て7月の公開に向けて頑張っていきたいと思っておりますので、皆様応援を宜しくお願いいたします。
🎦 作品情報
🔘 劇場版『Re:cycle of the PENGUINDRUM』
▶劇場公開
前編「君の列車は生存戦略」:2022年4月29日(金)公開
後編「僕は君を愛してる」:2022年7月22日(金)公開
▶ストーリー
これは、ある兄弟妹と、突然やってきたペンギンと、この世界の過去と未来についての物語である───。病気の妹・陽毬の命を救うため、謎のペンギン帽の命令により「ピングドラム」を探す高倉家の双子の兄弟・冠葉と晶馬。自身の運命を信じて日記に書かれた出来事を実現しつづける荻野目苹果。新たな運命を導くため萃果の日記を手に入れようとする夏芽真砂子。大切な運命の人を取り戻すために目的を果たそうとする多蕗桂樹と時籠ゆり。彼らはそれぞれの運命と大切な人の為に「ピングドラム」を追い続けたのだった。あれから10年──かつて運命を変える列車に乗り込んだ冠葉と晶馬が、運命の至る場所からひととき戻ってきた…。
▶スタッフ
監督:幾原邦彦
副監督:武内宣之
原作:イクニチャウダー
キャラクター原案:星野リリィ
脚本:幾原邦彦、伊神貴世
キャラクターデザイン:西位輝実、川妻智美
色彩設計:辻田邦夫
美術:中村千恵子(スタジオ心)
アイコンデザイン:越阪部ワタル
CGディレクター:越田祐史(スタジオポメロ)
VFX:田島太雄
撮影監督:荻原猛夫(グラフィニカ)
編集:黒澤雅之
音響監督:幾原邦彦、山田陽
音響効果:三井友和
音楽:橋本由香利
音楽制作:キングレコード
アニメーション制作:ラパントラック
製作:ピングローブユニオン
配給:ムービック
▶キャスト
高倉冠葉:木村昴
高倉晶馬:木村良平
高倉陽毬:荒川美穂
荻野目苹果:三宅麻理恵
多蕗桂樹:石田彰
時籠ゆり:能登麻美子
夏芽真砂子:堀江由衣
渡瀬眞悧:小泉豊
荻野目桃果:豊崎愛生
プリンチュペンギン:上坂すみれ
© イクニチャウダー/ピングループ ©2021 イクニチャウダー/ピングローブユニオン
写真:村山泰紀