2021年10月〜12月に放送されたオリジナルTVアニメ『takt op.Destiny』。本作のオーケストラコンサートが、2022年6月19日(日)にBunkamuraオーチャードホールで開催された。演奏は指揮者・榊真由氏率いるSTAND UP! ORCHESTRAと、ピアニストの石井琢磨さん。若山詩音さん(運命/コゼット役)、本渡楓さん(アンナ・シュナイダー役)、伊藤美来さん(巨人役)らキャスト陣もゲスト参加した。
第1部が開幕すると、ベートーヴェンの「交響曲第5番『運命』第4楽章」のピアノバージョンが、観客を本作の世界へと誘っていく。タクトの「さあ、演奏会の始まりだ」というセリフを合図に、ベートーヴェンの「ピアノソナタ第14番『月光』第1楽章」へ。3曲目は『運命』のアニメオリジナルアレンジ版である「Symphony No.5 C-minor(Fate)」。ここからはオーケストラも交えた壮大な演奏によって、アニメの様々なシーンが鮮やかに蘇る。さらに、チャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番第1楽章」、ベートーヴェンの「ピアノソナタ第8番『悲愴』第2楽章」と、第2話でタクトやコゼットが弾いていた曲が演奏された。
5曲目が終わったところで、キャスト陣がステージに登壇。メインビジュアル同様に、若山さんは真紅、本渡さんは緑、伊藤さんはオレンジと、各キャラクターをイメージした艶やかなドレス姿。そして始まったのは、特別コーナーの指揮者体験。キャスト3名とピアニストの石井さんが指揮にチャレンジした。課題曲は、誰もが一度は耳にしたことがあるだろう「ジャジャジャジャーン」から始まる『運命』の冒頭部分。指揮者のオーディションにもよく使われる難曲で「初めて挑戦したのは、指揮者の勉強を始めて4年目」だったと語る榊さんが、4人へ指揮棒の構えや振り方をレクチャー。まずは「アニメの収録前に『運命』を生で聞かなきゃと思って、コンサートに行った」と話す若山さんが挑戦し、それに伊藤さん・本渡さんが続く。緊張しつつ3人とも堂々とした立ち振る舞いを見せ、榊さんからは「左手の使い方を教えていないのに、みなさんできていて素晴らしい。普通は指揮の勉強を始めて1年くらいしてから、やっと左手で音を切るということを習うんですが、それを5分でやってしまうとは」と称賛の言葉が。また、本渡さんは「思った以上にオーケストラのみなさんと目が合うんですね。それだけ指揮者は頼りにされる存在なんだとわかりました」と語った。トリを務めたのは、指揮は初めてだという石井さん。「今日のピアノ協奏曲より練習してきました」という言葉も納得の完璧な指揮を披露し、会場からは大きな拍手が送られた。
アニメのオープニング映像が流れ、ワーグナーの「ニュルンベルクのイスタージンガー第1楽章への前奏曲」で第2部が開幕。7曲目はムジカートであるワルキューレ、地獄と天国、地獄のオルフェ、そして巨人の元となった楽曲のメドレー。ワーグナーの「ワルキューレの騎行」、「天国と地獄」という邦題が有名なオッフェンバックの「地獄のオルフェ」の序曲とお馴染みの曲が続き、観客のボルテージも上がっていく。そして最後のマーラー「交響曲第1番『巨人』第4楽章」では、レニーと巨人が地獄と天国を相手に激闘を繰り広げるシーンが映し出された。この曲について伊藤さんは、「巨人とレニーとの思い出がギュっと詰まっている曲で、胸にこみ上げるものがありました」と感動。チェロ奏者でタクトの父・ケンジに師事していたレニーに関する楽曲がさらに続き、マーラーの「交響曲5番第4楽章『アダージェット』より」へ。ケンジを失った悲劇や巨人との出会いなど、レニーの軌跡が繊細な旋律で紡がれ、そこに伊藤さんの「巨人がいつだって笑顔でいるから。約束!」というセリフが重なる。さらに、同曲のピアノ・チェロバージョンが奏でられ、第10話ラストシーンのレニーが見た夢を再現するという演出で観客の涙を誘った。
コンサートはいよいよクライマックスに突入。若山さんの「開演!」のセリフで始まった最後の楽曲は、ベートーヴェンの「交響曲第5番『運命』第4楽章」。第1部ではピアノバージョンで披露されたこの曲が、今度はオーケストラバージョンで奏でられる。スクリーン上で地獄のオルフェと壮絶なラストバトルを繰り広げる運命の姿が、力強いオーケストラの演奏によって表現された。
そして鳴りやまないアンコールの拍手に応えてキャスト陣が登場。若山さんは「すごく緊張していたんですが、楽しく演奏を聞かせていただき、指揮者の体験もすることができて、本当に素敵な機会になりました」とコメント。伊藤さんは「こんなに素敵な作品に関わらせていただいたんだなと改めて実感しましたし、音楽の力はすごいなと肌身に感じました。今度は客席でオーケストラの音を聞きたいなと思ったので、クラシックのコンサートに足を運んでみたいです」と笑顔を見せた。そして本渡さんは、「私たちと年齢層の近いSTANDUP! ORCHESTRAのみなさんの演奏を聞いて、よりクラシックやオーケストラを身近に感じることができました」と語り、アニメファンとクラシックファンが一堂に会したこの貴重な機会に感謝した。
最後に演奏されたのは、タクトが旅の間作曲していた「With Love」。アニメ最終話、海辺で横たわるタクトが運命に聞かせた楽曲で、戦い抜いた2人を柔らかく癒すような音色が会場に響き渡り、大きな拍手が沸き起こる。その後エンディング映像が流れ、アニメのラストと同じく「行きましょう。コゼット、運命」というアンナの決意がこもったセリフでオーケストラコンサートは幕を閉じた。
📀 Blu-ray情報
🔘『takt op.Destiny』Blu-ray Op.4(特装限定版)
▶発売日|2022年7月27日(水)
▶品番/価格|BCXA-1699/11,000円(税込)
▶収録話|第10話〜第12話
▶発売元・販売元|バンダイナムコアーツ
▶封入特典
▪Special CD 4「運命〜Die kommende Zukunft〜」<演奏:まらしぃ>
▪特製ブックレット(32P)
▶映像特典
▪コンダクター座談会(出演:内山昂輝(タクト役)、日野聡(レニー役)、浪川大輔(シントラ─役)、花輪英司(ザーガン役))
▪運命〜Die kommende Zukunft〜<演奏:まらしぃ>MV
▪ティザーPV
▪第2弾PV
▶音声特典
▪オーディオコメンタリー(出演:若山詩音(運命役)、日野聡(レニー役)、伊藤美来(巨人役))
▶仕様
▪キャラクター原案LAM描き下ろしイラスト使用収納BOX
▪キャラクターデザイン長澤礼子描き下ろしイラスト使用デジジャケット
©DeNA/タクトオーパスフィルハーモニック
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